日焼け肌はかっこいい??⑥ ~光老化による皮膚がん~

前回までのコラムでは光老化の三大症状であるシミ、しわ、たるみについてお話をしました。
しかし光老化による症状はこのような美容的な症状だけではありません。
皮膚科的に最も怖い光老化による皮膚症状、それは皮膚がんです。

細胞の遺伝子変異

紫外線のUVBが皮膚の細胞に照射されると、細胞内にある遺伝子(DNA)に傷が生じます。細胞にはそれを修復する機能が備わっており、通常、この傷は元通りに修復されるのですが、長年にわたり紫外線による刺激で遺伝子(DNA)が繰り返し傷つけられているうちに、この修復機構がうまく働くことができなくなることがあり、そうなると傷の直し間違いが生じ、遺伝子変異を起こします。この変異を生じた部位がたまたまがん遺伝子などのがんの発生に関わる遺伝子であった場合、その細胞は勝手に増殖を始めてがんになります。

日光角化症

最も多いのは日光角化症という表皮性のがんで、やがてそれが有棘細胞がんという進行したがんに発展します。
男性は習慣として日焼け予防にも役立つメイクをすることがなく、またゴルフなどのアウトドアスポーツを楽しまれることも多いため、日光角化症は女性に比して男性に圧倒的に多い症状であります。
患者様の多くは「イボ」と認識されていることが多く、実際には受診をされていない日光角化症の患者様も多くいらっしゃると思われます。しかしこれが進行した有棘細胞がんは、他の臓器やリンパ節に転移する恐ろしいがんでもあるのです。

以前のコラムで光老化の三大症状でも動じなかった方、それでも無防備に小麦色の肌作りを楽しまれますか??

紫外線対策については今後のコラムでお話をする予定です。

樋口 彩子

Dクリニック東京 メンズ・Dクリニック東京 ウィメンズ 皮膚専門外来医師

帝京大学医学部卒業後、東京慈恵会医科大学付属第三病院にて初期研修を修了。その後、東京慈恵会医科大学病院皮膚科学講座に入局。助教に就任後、Dクリニック東京 メンズ・Dクリニック東京 ウィメンズ、皮膚専門外来を担当。 皮膚科一般診療及び美容皮膚科診療を得意分野とする。 日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本香粧品学会 所属。